Archive for the 未分類 Category

夢の力

日曜日, 7月 29th, 2018 | Permalink

古本買取 東京

中上健次の『夢の力』というエッセイ集を読んでいる。「エッセイ」というカタカナがどことなくしっくりこないが。
その中の「犬の私」が良かった。少し、引用。

国立駅前の小さな喫茶店で、二十三で結婚していらいこの方、肉体労働やっていた時もやめた時も、同じ隅っこで、ものを書きつづける。狂っているのだろうか?と疑う。
神、つまり地霊のようなものだが、それに縛られていると思う。地霊が、私の描くことと生活を継いでいる。言ってみれば、私の書斎は、私の工房は、地霊の棲むところなら、どこでもよいのだ。

地霊。地霊は、簡単に言うと土地の神様みたいなものらしいが、よくはわからない。
ただ、「地霊」という言葉を選んだのが中上健次らしい。天ではなく、地。

そういう場所を嗅ぎつける嗅覚を持つ、犬のような彼が羨ましい。

もうそろそろここから去りたい。
その先のことはわからないが、足がある限り何とかなるだろうと思う。
土を踏んで歩いてさえいれば。感覚を頼りに進んでいけば。
いつまでもうまく生きられないなと思うが、仕方がない。

ところで暑い。
歩くといっても夜でなきゃ、しんどいですね。
虫に刺されないよう、蚊除けをスプレーを全身にふりかけ電車に乗ったら、
自分の周りだけ、人も寄ってきませんでした。
虫除け、人除け。ちょっと悲しかった・・・。

なんちゃって。

意味のない話

金曜日, 12月 15th, 2017 | Permalink

古本買取 東京

サラサラの鼻水が自然に垂れてしまってるお爺さんを見て本当に寒い冬ですよねと思う。
寒いからスーパーで石焼き芋を買った。スーパーの石焼き芋は値段が高いけれどびっくりするくらい甘くて美味しく、これを手にするため口に含むために冬が来たのだと、幸福感に包まれる、一人。もはやスイートポテトのような柔らかさのそれをスプーンでほじくりいそいそと食べていると、大抵半分くらいで飽きて一口目の感動を忘れてしまいがちだけれど、日を改めて再度それを手にするたび一口目の感動はしっかりとやってくる、だから冬の焼き芋はやめられん。些細な幸せとはこういうことじゃ、と私は思う。

今日は弁当箱の蓋にミートソースがこびりついて結局取れないまんま赤く残った。
ああ取れないな、と思いつつ何度も何度もこする。明日も蓋が赤いこの弁当箱を使う。来週も。
この間は電子レンジで弁当箱を温めすぎて、弁当の形がゆがんだ。
ゆがんだ弁当箱が今度は赤くなってしまったわけだけど、新しいものに変える必要性を感じないのでこのまま行くことにする。だからどうしたという話ではある。

でも、よく物は捨てている。
モノが増えると、なんか焦る。何でなのか。

本はちょっと、捨てるのに渋るから溜まってく。
なぜだかこれらは、増えると安心する。何でだろ。

なんちゃって。

映画の古本出張買取行っています。もちろん、経済、政治、文学、美術書、学術書、エッセイ、詩集、漫画、美術書、画集、民俗学、古代文学、写真集、人文書などなどオールジャンルの買取を行っているので、いつでも連絡お待ちしています。

映画日和。『海の沈黙』

火曜日, 11月 21st, 2017 | Permalink

古本買取 東京

渋い映画を見た。
渋い映画館には渋い老人が多い。

沈黙の多い映画で、登場人物も3人程度。
狭い部屋の一室で、
一人でずっと話し続ける兵士と、
一人でずっと編み物を続ける女性(姪)と、
一人でずっとパイプをふかし続けてる爺さん。
暖炉の火が各々の顔を照らしてる。

女とお爺さんは、ひたすら沈黙を守り、でも、兵士の話に耳を傾ける。
兵士は、沈黙を怖がらずただただ話し続ける。

兵士が話をすると、
女と爺さんの顔は、少し柔らかくなる。
本当は話したかったはずで、でも、色々なことを押し殺していた。

ジャン=ピエール・メルヴィル
『海の沈黙』
1947年

フランス(兵士)とドイツ(女性とお爺さん)の話。
最後、ヒトラーの顔がどーんと映った。
怖かった。
似たようなことを知ってるような気がした。

映画館に太田和彦さんがいて、
自分は太田さんのファン(いい酒、いい肴という番組が好き)なので
あっと思ったが、それだけで終わった。

なんちゃて。

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映画日和。「動くな、死ね、甦れ!」

土曜日, 11月 4th, 2017 | Permalink

古本買取 東京

寒い。
とうとう焼き芋の季節が来てしまった。
去年の今頃も、寒い寒い、とひとりでそこら辺をほっつき歩いていた。
そうして今年も同じくそんな感じで過ごしてる。

この前渋谷で映画を見た。タイトルが鮮烈な映画。

子供が主人公の映画は大抵好みだけど、この映画の子供は、そこらへんの大人よりも逞しく、
その年で知ってはいけないこと、見てはいけないものをたくさん知っていて、
もはや子供ではなかった。けれど、子供の純粋無垢な瞳は本物だった。

『動くな、死ね、甦れ!』
・ソビエド
・ヴィターリー・カネフスキー監督
・1989年

第二次大戦直後のロシア。収容所地帯と化した小さな炭鉱町に生きる少年ワレルカと少女ガリーヤは共に12歳。スケートの盗難事件、学校のトイレにばら撒いたイースト菌事件、機関車の転覆など、ワレルカの引き起こす無垢な、しかしやってはならない悪戯は、母親への反発と相まって次第にエスカレートしていく。 そんな彼の前に、守護天使のように現れては危機を救ってくれるガリーヤ。二人に芽生えた淡い想いは次第に呼応していくが、やがて運命はとんでもない方向へ転じていくのだった。
 

映画を見ていて、茨城のり子の「わたしが一番きれいだったとき」という詩を思い出した。
ラストシーンに、とてつもなく衝撃的な女の姿が映し出される。
その姿と「わたしが一番きれいだったとき」を重ねると、言葉が出ない。

一番印象に残ったのは、子供でも女でもない、ある男の強烈な「瞳」。
それがとても強かった。何も言わず、ただじっと覗き込むだけの目。
白い光に覆われて、消えるまで、長いこと映っていた。
正直見ているのが嫌だった。

映画が終わって、「トップ」で珈琲を飲む。
渋谷に行くたび、もう当分ここには来たくない、と毎回思う。
なんというか、光と音が猥雑。とても。

そういえば「あそこにいる人たちは『老い』を忘れようとしていますよね」
と、誰かが言っていた。
でもその何が悪いんだろう? 惨めでいいじゃないかと思う。

なんちゃって。

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目的のないさんぽ。

火曜日, 10月 10th, 2017 | Permalink

古本買取 東京

サンズ・オブ・サン 郊外電車

霞ヶ関を散歩した。というより、霞ヶ関の真ん中に突っ立って、聳え立つビルと空を見上げに行ったという感じがする。休日で人は少なく、やたらと静まり返っていた。ビルと青空は相性がいいなあ。心地の良いひとりぼっち。周りに誰も、何もない。でも妙に清々しい気持ちになった。靴擦れをして、やたらと綺麗な歩道で、いそいそと靴を履き直す。警備員の人にちらりと一瞥されたが、別に悪いことをしているわけじゃないんだから放っといてほしい。棍棒などを持って、実におっかない。スンスン歩いていたが、霞ヶ関に長くとどまる理由は何一つないと思い出し、銀座の方までぶらりと歩き出す。銀座には人が多く、歩いているだけで疲れ、腰を落ち着ける場所が見つからなかった。
いつも店の外にまで人が並んでいる喫茶店の前を通り過ぎる。おそらくこの店のオムライス目当て。確かに、とっても美味しいけど、あんなに並んでまで待つ気力は無い。(実は食べたかったんで行ってみたが行列に辟易した)並んでいる人を横目に通り過ぎ、その足で何となく神田に向かったが、しかし別にこれといったものもなく、再び当てもなくぷらぷらと歩いた。
1、2年前なら喫茶店を探して、1日に何件も喫茶店のはしごをし、その時間を楽しんでいたけれど最近めっきりそういうことをしなくなった。相当暇だったのだ。
今も行き当たりばったりで見つけた(大抵食べログなどには載ってない鄙びた店)喫茶店でぼうっとするのは好きだけど。
最近もっとも居心地の良い場所・お気に入りのスペースはやたらと空いている電車の一番端っこの席。目的もなく電車にのっかって、眠たければ眠り、本を読みたきゃ本を読む。金もかからず、それなりに窓の風景を楽しめる。こういうのを楽しめる性質でよかったなと思う。もはや内田百間の『阿房列車』のような話だ。これはじいさんの話だが、私は一応まだ20代。もう少し派手な楽しみ方を、それなりに楽しめる年齢ではあるはずなのだけれど。でも『阿房列車』面白いですよね。「なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようかと思う。」こんな婆さんになりたいし、こういう爺さんが伴侶だったら素敵だ。目的がなくとも、移動している時間を堪能出来れば何かが豊かになりそうだ。退屈だな、と思うより遥かに満たされている。ただどうしても「並んで待つ」ということはできない。この時間は退屈以外の何ものでもなく、第一景色が動かないから飽きてしまう。
でもなぜか人を待つことは苦ではなく、遅刻してきたところで「無事に来たんだね」という気持ちになるのである。
※古本の買取はいつでも、首を長くしてお待ちしておりますのでよろしくお願いいたします。

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