Archive for 11月, 2017

映画日和。『海の沈黙』

火曜日, 11月 21st, 2017 | Permalink

古本買取 東京

渋い映画を見た。
渋い映画館には渋い老人が多い。

沈黙の多い映画で、登場人物も3人程度。
狭い部屋の一室で、
一人でずっと話し続ける兵士と、
一人でずっと編み物を続ける女性(姪)と、
一人でずっとパイプをふかし続けてる爺さん。
暖炉の火が各々の顔を照らしてる。

女とお爺さんは、ひたすら沈黙を守り、でも、兵士の話に耳を傾ける。
兵士は、沈黙を怖がらずただただ話し続ける。

兵士が話をすると、
女と爺さんの顔は、少し柔らかくなる。
本当は話したかったはずで、でも、色々なことを押し殺していた。

ジャン=ピエール・メルヴィル
『海の沈黙』
1947年

フランス(兵士)とドイツ(女性とお爺さん)の話。
最後、ヒトラーの顔がどーんと映った。
怖かった。
似たようなことを知ってるような気がした。

映画館に太田和彦さんがいて、
自分は太田さんのファン(いい酒、いい肴という番組が好き)なので
あっと思ったが、それだけで終わった。

なんちゃて。

映画の古本出張買取行っています。もちろん、経済、政治、文学、美術書、学術書、エッセイ、詩集、漫画、美術書、画集、民俗学、古代文学、写真集、人文書などなどオールジャンルの買取を行っているので、いつでも連絡お待ちしています。

映画日和。「動くな、死ね、甦れ!」

土曜日, 11月 4th, 2017 | Permalink

古本買取 東京

寒い。
とうとう焼き芋の季節が来てしまった。
去年の今頃も、寒い寒い、とひとりでそこら辺をほっつき歩いていた。
そうして今年も同じくそんな感じで過ごしてる。

この前渋谷で映画を見た。タイトルが鮮烈な映画。

子供が主人公の映画は大抵好みだけど、この映画の子供は、そこらへんの大人よりも逞しく、
その年で知ってはいけないこと、見てはいけないものをたくさん知っていて、
もはや子供ではなかった。けれど、子供の純粋無垢な瞳は本物だった。

『動くな、死ね、甦れ!』
・ソビエド
・ヴィターリー・カネフスキー監督
・1989年

第二次大戦直後のロシア。収容所地帯と化した小さな炭鉱町に生きる少年ワレルカと少女ガリーヤは共に12歳。スケートの盗難事件、学校のトイレにばら撒いたイースト菌事件、機関車の転覆など、ワレルカの引き起こす無垢な、しかしやってはならない悪戯は、母親への反発と相まって次第にエスカレートしていく。 そんな彼の前に、守護天使のように現れては危機を救ってくれるガリーヤ。二人に芽生えた淡い想いは次第に呼応していくが、やがて運命はとんでもない方向へ転じていくのだった。
 

映画を見ていて、茨城のり子の「わたしが一番きれいだったとき」という詩を思い出した。
ラストシーンに、とてつもなく衝撃的な女の姿が映し出される。
その姿と「わたしが一番きれいだったとき」を重ねると、言葉が出ない。

一番印象に残ったのは、子供でも女でもない、ある男の強烈な「瞳」。
それがとても強かった。何も言わず、ただじっと覗き込むだけの目。
白い光に覆われて、消えるまで、長いこと映っていた。
正直見ているのが嫌だった。

映画が終わって、「トップ」で珈琲を飲む。
渋谷に行くたび、もう当分ここには来たくない、と毎回思う。
なんというか、光と音が猥雑。とても。

そういえば「あそこにいる人たちは『老い』を忘れようとしていますよね」
と、誰かが言っていた。
でもその何が悪いんだろう? 惨めでいいじゃないかと思う。

なんちゃって。

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