Archive for 10月, 2016

隅っこの街、ジャズ喫茶

土曜日, 10月 29th, 2016 | Permalink

古本買取 東京

どこに行けばいいか分からなくなって喫茶店に入った。とりあえず喫茶店に入ればなんとかなると思っている節がある。今日来た店は小岩のフルハウスというジャズ喫茶。テーブルがミシン机のようなもので、味がある。前はなぜか阪神タイガースのユニフォームがあった気がしたのだが、今は無いみたいだ。外したんだろうか。若干チグハグな店内の内装が謎で、そういうところが良いなと思っていた。
当たり前だがもちろんジャズが流れている。ただ、自分はジャズに詳しくないので誰の何が流れているかはわからない。がそんなことは関係ない。物知り顔でただ座る。こういう所で本でも読めばいいものの、なぜだか読めずただタイトルだけを眺めたりする。今手元にあるのは昭和59年発行のユリイカ、それから中上健次の『岬』。いつでも読めるように一応置いている。

生キウイジュースを頼んで、ストローでチューチューと吸う。時々キョロキョロ店内を見回し、他の客が話している様子を眺めたりする。これだけのことが、なかなか面白い。
しかし次第にジュースも飲みきってしまい、他の客も立ち退いてくる。
このまま居残るか帰るかと悩んでいる時、店主がレコードを変え、全体の雰囲気がガラリと変わる。ジャズに詳しくはないが聞くことは出来るので、帰らずに聞く。
グラスに入った氷が溶け、やることもないので仕方なしにそれをストローで吸う。
もう帰るタイミングなどどうでもよい。ただぼうっとする。喫茶店はそういうことを許してくれるから好きだ。帰る頃、雨が強まってなけりゃいいなと考えている。

なんちって。

映画の古本出張買取行っています。もちろん、経済、政治、文学、美術書、学術書、エッセイ、詩集、漫画、美術書、画集、民俗学、古代文学、写真集、人文書などなどオールジャンルの買取を行っているので、いつでも連絡お待ちしています。

映画日和。「からっ風野郎」

金曜日, 10月 28th, 2016 | Permalink

古本買取 東京

深夜に増村保造の「からっ風野郎」を観る。主演は三島由紀夫でヒロインは若尾文子。
三島由紀夫は身体、表情、声が魅力的で飽きない。こんなにチャーミングな人だったのか、と見ながら思う。銃が全然似合っていなかった。そしてそこが良かった。

増村保造
「からっ風野郎」
1960年

個人的に一番印象に残った場面

刑務所のグラウンドでバレーボールをしている囚人たち。警官が「朝比奈!」と男を呼ぶ。
上半身裸の朝比奈(三島)が振り返る。身体をこちら(正面)に向け腹をさすっている。

冒頭の別になんてことのない場面で、この時三島の姿が初めて映る。別に何ともないところだから短い。でも巻き戻して2回見た。
三島由紀夫が渋い顔して腹さすってる。

この後に腹を斬るなんてこれっぽっちも知らない三島を眺める。
幻みたいな人だなあとおもう。

嘘みたいな事が本当に起こる現実の方がよっぽど映画みたいだ。

それにしても、これだけは言いたい。
若尾文子のうなじって完璧だ。

なんちって。

以下啓文社書房から新刊のお知らせです。

岡山典弘著
『三島由紀夫が愛した美女たち』

宮家令嬢から映画女優まで
三島が憧れ、恋心を抱き、熱愛した女性との物語を
三島研究の第一人者が描く!

三島由紀夫の半生は、魅力的な女性に彩られていた。
周知のとおり三島は、透徹した「眼」をもつ作家である。少年期から独自の美意識を研ぎ澄まして、絢爛たる〝三島美学〟を構築した。その「眼」は、文学に向けられ、演劇に向けられ、映画に向けられ、美術に向けられ、そして女性に向けられた。

【目次】

序文 宮崎正弘

はじめに

第一章 映画女優 若尾文子

第二章 天上界の麗人 美輪明宏

第三章 シャンソンの女王 越路吹雪

第四章 新劇女優 村松英子

第五章 三島文学のモデルとなった佳人

第一節 『仮面の告白』の三谷邦子

第二節 『沈める滝』の豊田貞子

第三節 『幸福号出帆』の東久世壽々子

第四節 『鏡子の家』の湯浅あつ子

第五節 『豊饒の海』の酒井美意子

第六節 『豊饒の海』の北白川祥子

発行 啓文社書房
発刊 啓文社

谷川俊太郎さんの詩

水曜日, 10月 26th, 2016 | Permalink

古本買取 東京

からだの中に
深いさけびがあり
口はそれ故につぐまれる

からだの中に
明けることのない夜があり
眼はそれ故にみはられる

からだの中に
ころがってゆく石があり
足はそれ故に立ちどまる

からだの中に
閉じられた回路があり
心はそれ故にひらかれる

からだの中に
いかなる比喩も語れぬものがあり
言葉はそれ故に記される

からだの中に
ああからだの中に
私をあなたにむすぶ血と肉があり

人はそれ故にこんなにも
ひとりひとりだ

「からだの中に」

この谷川俊太郎さんの詩を、縁あって毎日聞いている。
大声で怒鳴るように皆が読んでいるのを、隅の方で縮こまりながら聞く。
身体はじっとしているのに心が揺れる。ロウソクみたいだな。

一人でそそくさと帰る毎日を繰り返す。
本当は色々なことを伝えたい。話したい。
でも少しのことも話せない、言えない。
仕方がないから遠くから人を眺める。
みんないい顔をしていた。

歩いてる途中時々いい匂いが漂ってきて腹が減る。歩く。人に反応して、オレンジ色の照明がパッと突然点く。歩く。窓辺に花が飾っているのを見る。あ、綺麗だなあと思う。知らん犬が吠える。

不意に泣きそうになる。

こういうことにはもう慣れてしまった。
また今日も。でも今日は。

なんちって。

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映画日和。「トラベラー」

金曜日, 10月 21st, 2016 | Permalink

古本買取 東京

友人に誘われ、渋谷ユーロスペースで映画を見た。
アッバス・キアロスタミの追悼上映を今やっている。

イラン
アッバス・キアロスタミ
「トラベラー」
1974年

いい映画だった。
子供が出てくる。たくさん。皆いい顔をしていた。
物語の内容は、子供にとって残酷なことなんだけど。
ハッピーエンドとか、そんなようなものが無い。
人生ってそんなもんだよなと思う。それでいいじゃないかとも思う。

個人的に子供がでてくる映画が大好きだ。
それも、遠い国の子供。
映画の中の子供は永遠に子供だ。いいな。
「永遠」といえば、映画が終わってから映像を学んでいる友人に質問を受けた。
「永遠は存在すると思いますか」カメラを向けられる。

なんて答えたのか覚えていない。
きっと適当なことを喋っていたんだろう。
でもさっきも書いた通りあの映画の中の子供は永遠に子供だ。
そういうことかもしれない。
そして、実際には。

こんなこと寒い時期にしか考えたくないことだ。
全部夢だったのかもしれない。そんなことより腹が減る。

なんちって。

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映画日和。「少しの愛だけでも」

水曜日, 10月 19th, 2016 | Permalink

古本買取 東京

あ、寒。
のこのこと押入れからセーターを引っ張り出して着る。
やることもないので映画館に行く。そんな秋が来た。
金が無いし静かに観たいから、大きな映画館には行かない。
もはや映画館と呼べない「部屋」みたいな空間でフィルムの映画を独りで観る。当たり前だけどその「部屋」には家族連れもいないし、カップルもいない。その代わり一番前の席で難しそうな本を読んでいる孤独そうな青年、中途半端な席に座って変な姿勢のまま動かない爺さん、奇抜な髪型したとても細い女性、疲れ切った顔をしたサラリーマン等がいた。安心した。

上映が始まった。

鳥肌   鳥肌

そして鳥肌

終わった。
暗い映画だった。そして凄く良い映画だった。

とにかくもがいていて
言ってしまえば不器用で
ずっと寂しくて愛されたくって独りぼっちな人
が映ってた。
人に必ず花をプレゼントするんだ。
泣けてしまう。

「部屋」に来ている人達は何を思ったんだろう。
皆そそくさと帰って行った。
それが正解だと思う。
そそくさ、という言葉が彼らによく似合う。

ドイツ
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
「少しの愛だけでも」
1976年

一人秋の夜道を歩きながら色々なことを考える。
この時間は特別だなあと毎回思う。
映画館を出た後の数分間、一人で贅沢な余韻に浸る。
少し寂しくなるけど、秋は飯がうまいから大丈夫。

なんちって。

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